【VOL.32】ジュエリーデザイナー 伏見愛佳さん No.2

 

 

ジュエリーデザイナー・伏見愛佳さんへのインタビュー、後半はそのライフスタイルに迫ります。創作のモトからプライベートまで、人生で大事にしているコトやモノなど、ご自身の世界観について語っていただきました。

 

 

★制作で大切にしていることは。
「自分が欲しいと心から思えるものを作る」ということです。売れるかとか、流行とかは関係ありません。自分が欲しくないものを人に勧めるなんて、とても失礼だと思いますし。次はこれとあわせて…とか考えていると、自然とコーディネートできるシリーズになっていきますね。

 

 

★どのようなテイストが好きですか。
アンティークっぽいもの。そして、ストーリーを感じさせるもの。例えば、花に蝶が集まってきているとか、木の枝に鳥が止まっていておしゃべりをしているとか、劇場の幕が開ける…とか。

 

 

★インスピレーションはどこから?
家具や靴、かばんなど、身の回りのものも、アイデアのヒントになります。花や木といった自然も大きいですね。普段から、すごく意識しているというわけではないんですが、発想の源になっていると思います。

 

 

★もともと器用?
それが、昔は本当に不器用だったんです。学生のときも、美術はできるけど、技術はできない(笑)。木工とか苦手で。立体には向いてないなあと思ってたほど。
ジュエリー始めたときも、最初は糸鋸をまっすぐ切れないし、握力もなかったし。やり続ければ変わるものですね。

 

 

★お店の内装もとても素敵ですが。
ほっとできる空間にしたいと思って、内装はけっこう自分たちでやりましたね。床や壁を塗ったり…。既成の什器を使うのは嫌だったので、アンティークに手を加えて、ディスプレイに使っています。プラスチックは嫌いなので、決済用のカードリーダーも見えないようにカバーしたり。自分なりのこだわりです。

 

 

★1日のスケジュールは?
午前中は、習い事と用事を済ませる時間。今は、イタリア語と中国語とフラメンコを習っています。イタリア語は、忘れないため。中国語は、主人が仕事の関係で上海と行ったり来たりしているので、何かの役に立つだろうと。フラメンコは、純粋な趣味で4~5年続けています。
午後は、12時半~7時までお店をオープンしています。その間に作業したり、お客さんの応対したり。


 

 

 

★ご自分の持ち味は何だと思いますか。
1人遊びが上手なこと。ジュエリーづくりも1人の作業ですし。
今、仕事で夫が半分海外に住んでいますが、まったく大丈夫なのは、やっぱり1人で楽しむことが得意だから。絵を描いたり、インテリアのものを作ってみたり、家でも1人で遊んでます。

 

 

★今、興味があることは。
 クリエーターさんとの出会い、そして欲しいものをオーダーして作ってもらうこと。こだわりを持って、いいものを作っている人はいっぱいいると思います。オーダーするだけでなく、将来、何か一緒に楽しいことをできそうな予感がして、わくわくしています。

 

 

★落ち込んだときの気持ちの切り替え方は。
夫がスーパーポジティブなので(笑)、彼になんでも相談します。ポジティブへの変換機能がすばらしくて、例えばランチにありつけずに「お腹すいたー」と言うと「生きている証拠や」と言うし、わざわざ来たレストランが閉まっていたら「新たな出会いのチャンスが生まれたでー」と(笑)。
近くにポジティブな人がいると自分もそうなるし、そういう人の周りには自然に人が集まる気がします。

 

 

★迷ったときの指針になるのは?
「死ぬとき後悔しないかどうか」ちょっと考えてみます。それなら今、やったほうがいいな、と。


 

 

 

★これまで決断を支えてくれたのは?
留学を迷ったときに背中を押してくれたのは主人。何も約束をしないで送り出してくれた。そのときは冷たいなあと思ったけれど、結局それで、後戻りできないと覚悟ができました。
14~15歳年上の女友達にも相談しました。留学前29歳だったので「もう遅いかな?」と。すると「そんなに若いのに、何言ってるの?」って言われて。理解者に恵まれてきたことは大きいですね。

 

 

★将来の夢や目標は。
いっぱいあります(笑)。一番は、自分の作ったジュエリーが、将来アンティークになること。そのためにも本物の素材にこだわって、作品づくりにも力を入れたいですね。商品どうこうではなく、自分が本当に納得できるレベルが高い作品を作りたいです。
そして「神戸ブランド」として、日本だけでなく世界の人に知ってもらえたら…。そのためには、走り続けるしかないと思っていますが、1人の力には限界があります。いい仲間に支えられて、足りない部分を補ってもらったりしているし、これからも人との出会いを大事にしたいですね。
実際はとにかく、やりたいことがありすぎて、時間がないのがつらいですね。作りたいデザインが頭の中にたくさん待機してます。手が10本くらい欲しいです(笑)。

 

 

★仕事以外で、いつか挑戦してみたいことは。
老後は「墓の研究」をしようと決めています。大学でやった研究がまだ全然十分ではないので。老後は歴史家のなろう!と。
特にヨーロッパでは、墓碑は生前に作られることが多く、「なりたい自分」をあらわしているもの。時代とともに変遷する、生きることに対する価値観とか、時代背景にとても興味があります。


 

 

★精神的&肉体的に美しくあるコツ・習慣など。
精神的には、好きなことを我慢しないこと。考えるより、やってみること。悩んでいる時間は、体にもよくないです。
肉体的には、フラメンコをやっていますが、これは精神的にもいいですね。前、スペインに行ったときに見て、衝撃を受けたんです。踊りって、その国の美しい女性像をあらわしていますよね。
強くて美しい女性というイメージを持って、音を感じて、体で表現していくうちに、自分自身も作られていく感じがします。堂々とした姿勢をとっていると、心も自信に満ちるような気がします。

 

 

★人生で大切なものとは。
自分の居場所。「ここにわたしがいる」と実感できること。
私もだいぶ回り道をしているので、上手ではないですが、今、少しずつ作っているところです。

 

★ご自身にとって、満足できるライフスタイルは。
LOVE&LAUGH! 愛と笑いにあふれた生活です!

 

★お世話になった人に感謝の気持ちを伝えるときの方法は。
その人のために何か作ります。その人のためだけにデザインをして作るという時間が、感謝の気持ちを込めることだと思います。


 

 

★尊敬できて、自分もそうありたいと思う女性像は
強くて美しい人。「でも」と言わない人。

 

 

★きらいなこと。
人にきめつけられること。

 

 

★好きな映画、音楽、食べ物、本、言葉は。
映画…ロルフ・シューベル「暗い日曜日」、黒沢明「夢」、チャン・イーモウ「紅夢」。
音楽…隣の部屋から聞こえてくるピアノの音。
食べ物…ラム! 今はまっていて、週2~3回くらいお店に通って食べています。
本…遠藤周作「海と毒薬」。
言葉…dum fata sinunt vivite laeti 「運命が許す間嬉々として生きよ」。
   Mement mori 「死を想え」。実は、生きている間は楽しく生きようぜという意味。

 

 

★神戸のおすすめのお店は。
コーヒー…「御影ダンケ」。ひとりコーヒーの定番。遅めのランチに、ケーゼクーヘンとコーヒーを。
花…「grelo」。ちょっと渋めの、かっこいいアレンジ。お店のお花もお願いしています。
インテリア…「ランスハップブック」。本物のアンティークの小物に出会えます。
雑貨…「malle」。甘いだけじゃない、そんな魅力のあるお店。
休日は、山を越えて有馬の「喫茶ベルグ」へ。ここのビーフシチューが絶品です。
「弓削牧場」も好き。フレッシュな野菜のサラダと、チーズが最高。


 

★最後に、女性たちにメッセージを。
私自身、普通に大学を出て、会社勤めをしていて、今こういう仕事をしているので、とても多くの女性に相談を受けます。ブログからメールをくださったり、お店に来られたり。やっぱり悩んでいる人が多いんだなあと実感します。自分は何がやりたいんだろう?と悩む人、やりたいことがあるんだけど道筋が見つからない、という人。
自分も同じ立場だったので気持ちは分かります。道筋が見えないのは、動いてないからじゃないかな。私もはっきり見えてここへたどり着いたわけじゃなく、外に出てチャレンジする途中にはたくさんケガもしたし、心を痛めたこともあります。でも、じっとしているよりはマシ!
1年動かない人は、10年動かないと思います。ケガをするかもしれない、何かを失うかもしれない、でも全ては手に入らない。失ってもいいから、一歩踏み出す勇気が大切ですよね。とにかくまず動いてみること。1センチでも動くと、景色が変わるかも…。


 

 

伏見愛佳さんのショップ
quarant'otto クアラントット・ジュエリーワークス
http://www.quarantotto.jp
神戸市中央区下山手通3-2-6 Tel/Fax 078-326-4848 

ブログ 
Jewelry makes you happy!
http://blog.goo.ne.jp/betty_chow_530

 

ジュエリーデザイナー伏見愛佳さんのインタビューはこれで終わりです。

 


 

取材を終えて
華やかさの中に、芯の強さを感じさせる伏見さん。人一倍悩んできたからこそ、その言葉には説得力があります。「クアラントット(48)」という店名は、フィレンツェにいたときの住所が由来だとか。興味を持たれた方は、ぜひショップのサイトをのぞいてみて。ラッキーチャームになりそうな、運命のジュエリーに出会えるかも…。

 

取材日:2009年11月2日

市内在住ライター。暮らしの中で接するあらゆる人の話に、ひっそりと息づく小さな真理。そんな“人生の知恵”に励まされ、癒される毎日です。
インタビュアー:中山 純子