【VOL.32】ジュエリーデザイナー 伏見愛佳さん

 

 

今回のゲストは、ジュエリーデザイナーの伏見愛佳さん。神戸トアウエストのショップ「クアラントット」で、自らデザイン・制作を手がける“大人可愛い”アクセサリーを販売しています。前半では、夢を実現させるために歩んできたこれまでの道のりや、創作活動についてお伺いしました。


 

★現在のお仕事は。
クアラントットというジュエリーブランドで、デザインから制作までを手がけています。店で販売しているもののほか、結婚指輪や婚約指輪などのオーダーもお受けしています。
「毎日がちょっと幸せになるジュエリー」をコンセプトに、お出かけが楽しくなるようなワクワクするジュエリーを作っています。

 

 

★オープンからどれくらい?
2007年9月にオープンしたので、3年目に入ったところです。今は、やりたいことがいっぱいで、追いついていないところも多いですね。まだまだこれからという感じ。先は長いなあと思います。
1年目はやみくもに突っ走って、2年目はちょっと方向性が出てきて、今やっと少し先まで考えられるような、心の余裕が出てきたところです。

 

 

★どのようなきっかけでこの道に?
もともと、高校生のころからものづくりの仕事がしたいと思っていたんです。親が固かったので美大へは行けなかったんですが、せめて…と思って大学では史学科でヨーロッパのお墓の彫刻の研究をしていました。後で考えると、それが今の仕事にもつながっていますね。
 その後、自分で稼ぎながら勉強しようと思って、会社に勤めながら絵を学びました。作品をコンペに出したりしてたんですが、行き詰ってしまって…。仕事に結びつける道も見つけられず悩んでいたのですが、それなら「自分が本当に楽しいと思えることをやってみよう」と思ってジュエリーを手作りするようになったんです。
 ジュエリーは、付けるだけで着こなしの印象が変わったり、しぐさが美しく見えるので、前からすごく好きでした。でも自分の好みにぴったりくるものがなかなかなかったので、それなら作ってみよう!と。

 

★最初はどんな活動を?
見よう見まねでパーツをつないだりしていたのですが、やっぱり既製品じゃつまらなくなって。25歳のとき、彫金の学校へ行き始めました。働きながらだったので、週末と夜に通って。そのうち友達や会社の人からオーダーが来るようになりましたね。
だんだんどっちが本業か分からなくなってきたんですが、これからのことを考えたとき、「私はジュエリーを仕事にしたい!」という思いが強かったので、作家活動に専念しようと退社しました。。


 
★会社を辞めてからは?
イタリアのフィレンツェに1年、留学しました。その時点ではだいたい作れていたのですが、ジュエリーの歴史が長い本場で技術の裾野を広げようと思いまして。留学生を受け入れている工房に入りました。そこは彫金、石留め、デザインなど全部分業。時間もお金もなかったので、3つかけもちして勉強しました。夜間や土日は、別にデザインや語学の学校へ通っていました。
工房にはいろんな国から留学生が来ていましたが、アジア人はやっぱり器用。アメリカ人は逆に、あまり不器用でびっくりしたり(笑)。フランスの子は、技術力はそうでもなかったけど発想が面白くて、センスのあるものを作ってましたね。

 

 

★留学で何が一番変わりましたか。
技術力が向上したのはもちろんですが、何よりも、「覚悟」ができたということです。日本から来ている人も多かったのですが、「私は店を持つ」と周りに公言していました。自信があるわけではなかったんですが、自分を奮い立たせるためにも、あえて追い込んでいたというか。もう後がない!と。
その気で、店内のディスプレイに使えそうなアンティークの鏡とか額縁とか、小物を買い込んでましたね(笑)。


 

★帰国してからは。
関西出身の主人の協力も得ながら、今のお店をオープンしました。もともと私は横浜で、こちらには知り合いもいなくて、心機一転、ゼロからのスタートだったのですが…。

 

 

★神戸を選んだ理由は?
関西なら、絶対に神戸と思っていたので。前、大阪・京都・神戸を旅行で回ったとき、神戸の女性はすごくおしゃれだった印象がありましたし。
横浜に似ているということもありますが、どちらかというと横浜は東京のベッドタウンで「ハマっ子」はごく一部。観光地として成り立っているだけで、横浜らしさはあまりないというか。その点、神戸の街は成熟していて、「神戸らしさ」があるなあと思って。


 

 

★今、作っているのは?
オーダーメードの、個性的なエンゲージリング。ダイヤを散らして、シャンパンの泡をイメージしたものです。マリッジリングと重ねづけできるように作っています。
エンゲージやマリッジリングは、意外にも初めてのお客さんからのオーダーが多いんです。個人的に結婚式が大好きなので、ウエディングに関する仕事はとてもうれしいですね。幸せな2人から、ハッピーを分けてもらえますし。
リングだけでなく、小物も手がけたいですね。ティアラは2つ作りました。今、一つは結婚式用にレンタル中です。

 

 

★アイデアが生まれるのは?
1人でお茶をしている時に考えることが多いですね。おしゃれなカフェじゃなくて、“純喫茶”が好きなんです。いつも白いノートを持ち歩いていて、アイデアをスケッチします。綿密に書き込むことはあまりなくて、イメージを簡単に描くくらい。


 

 

★イメージからカタチにしていくのは…。

細かいところは、実際に作りこんでいきながらデザインしていきます。ここはもう少し丸くとか、重い感じで…とか。素材の質感によっても違ってきますし。
生け花みたいな感じですね。作りながら、全体を見て、付け加えたり、取り除いたり。

 

 

 

★一日どのくらい作業しますか。
日にもよりますが、7~8時間くらい。気分がのっていると、時が経つのが早いですね。作るのは楽しいです。透かし彫りとか、マラソンみたいに長い工程の作業のときには途中からだんだん気持ちよくなってきたり(笑)。単純作業のときは無心ですね。
一番うれしいのは、出来上がったときの瞬間。周りに見て見て!って、うるさいくらい(笑)。

 

 

★素材はどのように探しますか。
パールなら、やっぱり神戸。本場だけあって、種類が多いんです。小さかったり、ちょっといびつなものが好きなんです。優等生じゃなくて、はすっぱな感じの(笑)。そういったパールを探すと、神戸の古い業者さんに行き着くんですね。
石はイタリアに行って探したり。カットは、山梨県の加工会社にオーダーして、オリジナルの48カットというのに加工してもらったりしています。あとは東京の業者さんとか…、手探りでやっているうちに信頼できるところが増えてきました。
素材も突き詰めると、オリジナルで作るのが一番ですね。出会うのを待っていたら大変なので。


 

 

 

★1点ものも多いですか。

だいたいは複数作りますが、1点ものもあります。作業の工程や、構造的に1点しか作れないものもありますし。
そういった作品は思い入れもあるので、お客さんに「里帰りさせてくださいね」と声をかけたりするんです。結構付けて来てくださるんですよね。使ってもらっているとうれしいし、「似合っているな」「こんなふうにコーディネートしてくれた」とか、喜びもひとしおです。そうやってファンになってもらえることが本当にうれしいですね。
 

 

 

伏見愛佳さんのショップ
quarant'otto クアラントット・ジュエリーワークス
http://www.quarantotto.jp
神戸市中央区下山手通3-2-6 Tel/Fax 078-326-4848 

ブログ 
Jewelry makes you happy!
http://blog.goo.ne.jp/betty_chow_530

 

ジュエリーデザイナー伏見愛佳さんのインタビューは、11月26日に続きます!

 


 

 

取材ブレイク
伏見さんと話して感じたことは、「自分に正直な人」だということ。自分を偽らず、やりたいことに真っ向からチャレンジしていく潔さが伝わってきました。あれこれ理由をつけてあきらめるのはとっても簡単。でもそれでいいの? 一度きりの人生を愉しむ術を持つ、とっても素敵な女性です。

 

取材日:2009年11月2日

市内在住ライター。暮らしの中で接するあらゆる人の話に、ひっそりと息づく小さな真理。そんな“人生の知恵”に励まされ、癒される毎日です。
インタビュアー:中山 純子