【VOL.29】フードユニット「aina(アイナ)」安藤美保さん・高原由香さん・徳好琴美さん No.2

 

 

引き続き、フードユニットaina(アイナ)の3人にお話を伺います。携わった映画や本の裏話や、料理上手になるためのヒントなど楽しい内容が盛りだくさんです。

 

★忙しい毎日だと思いますが、暮らしの中で大切にしていることはありますか。

 

高原 朝ごはんかな。自分で食べたいものをお皿に盛って。
朝はお菓子を食べるんです、試食を兼ねて。それが楽しい。優雅と思われますか?
でも髪はボサボサだったり(笑)。

安藤 余裕を持って過ごせればいいんですけど、家事や店の手伝いもあってバタバタで。
でも煮詰まったら1人で「にしむらコーヒー」に行ったりします。
ゆっくりお茶飲む時間って、大事ですね。そうしないと、だんだん色々なことが
雑になってきて、人にやさしくできないというか。

徳好 私もそうです。たまにゆっくりお菓子の本を見たりする時間が大切。
気分を切り替える時間。

高原 まる一日休み!という日が3人ともないんですよね。

安藤 日々の食事にしても、雑誌に出しているレシピの試作を兼ねてだったり

高原 家にいても気になってるし、ノートも何も持たずに一日出かけないと休んでいる気がしない。

 

 

★作業量も多いんでしょうね。

 

高原 ものによって違いますけど、量は一回で100とか。でも慣れました。
自宅の厨房で作っているんですけど、アイナに注文がきたときは
(徳好)琴美ちゃんと2人で分担したり。

徳好 私は午前中はカフェでパンとお菓子を焼いて、午後からは自分の仕事。
アトリエが別にあるので、そこを工房にして毎日何かを作ってますね。
ジャムをネット販売したり…。

高原 なかなかアップしないよね(笑)。

徳好 結婚式の注文とか入ると、だんだんアップがずれてきて。

安藤 そういえば私1回もみてないよ(笑)。

 

 

★結婚式などのオーダーもあるんですか?

 

徳好 それで四国に行ったことありましたね。

安藤 しばらくケータリングに力を入れてやってたんですけど、とにかく体力勝負で自分たちの体が持たなくなってきて、これはムリだと。

高原 足とか、腕とかいろんなとこずっと痛かったり(笑)。

安藤 それで、来てもらえるほうが…と言う感じで教室にシフトしてました。この春からは教室は私だけでワインと料理、隔月でする予定です。

高原 これまで、1ヶ月があっという間で。レシピを考えて完成形まで持っていって、の繰り返しで余裕がなくて。

安藤 今年は充電もしつつ、レベルアップいきたいですね。

 

 

★これまでで印象に残っている仕事は?

 

安藤 映画は面白かったね。去年公開された「僕の彼女はサイボーグ」のお手伝いをしたんです。主人の知人と、映画製作の誘致をしている「神戸フィルムオフィス」の方が知り合いで、話がきて。
主人公の綾瀬はるかちゃんが食べる骨ごと鳥のから揚げとか、相手役の小出恵介くんが顔をつっこまれるバースデーケーキとか。

高原 撮り直しがあるから、1シーンにつき4個とか。すぐ差し替えられるように準備しておかないといけない。そのケーキがまた大きいんですよ。普通に食べられるように作るんですけど、撮影のライトに耐えられるように生クリームを調整したり。

徳好 極寒の2月に、電気も通ってない廃校みたいなところで。

高原 学食で作りましたね、大道具さんが照明持ってきて、水道も引いてくれて。寒かったね~、カイロをいっぱい張って。

安藤 トリトンカフェが出版している「Billet(ビエ)」という雑誌も面白かったですね。レシピ出して、撮影用に作って。編集の方がこんなんほしいなあと毎回いろんな希望を出してくれて、結構難問が多かったね(笑)、でもそれをどう作るかと考えるのも面白くて。

高原 例えばキャラメルの色をもっと濃くとか、明るくとか。雑貨との撮影だったから色調も合わせてね。おいしく見た目もよく…。おいしいだけより、ずっと大変。


 

 

★もうすぐ本も出版されるとか。

 

安藤 初夏にはアイナとしての初めての本が出ます。タイトルは未定なんですが、焼き菓子…、サブレの本です。
最初案を出しあったときも、みんな違う案を出してきて面白いな~と。編集の方に意見をもらって、試食を繰り返しながらやりました。カメラマンさんもスタイリストさんも関西の方で、撮影も栄町でしました。神戸っぽい感じが出ているかも。
私たちが言うのもなんですけど(笑)。スタッフの皆さんに素敵にしていただいて、かわいい本になると思います。

 

 

★これからの夢や目標は?

 

高原 そうですね、基本は今までやってきたことを確実に、丁寧にしていきたいですね。後はみんなで言っているんですけど、もっと勉強していけたら。日々の暮らしも丁寧に。

安藤 自分の暮らしがめちゃくちゃやったら、提案しても説得力がないですもんね(笑)。

徳好 私はお二人につい頼ってしまってるので、もうちょっときっちりしていければ。

安藤 私は長い目で見て、食を通じて田舎と街の人をつなぐ仕事をこれからのライフワークにしようかと思っていて、少しずつ準備しているところです。そのために今年は国内旅行に行って、おいしいものを食べたり、一歩踏み込んで地元の料理を教えてもらえれば。それを教室で紹介したり。
県の農村ボランティアにも参加していて、何度か淡路に行っているんです。それで去年は3人で淡路で教室をしたんですが、次は希望者を募って、現地のお母さんに郷土料理を教えてもらったりしました。


 

 

★料理上手になるためのヒントをお願いします。

 

高原 食べてもらう人のことを考える。なんとなくじゃなくて、あの人何が好きやろ~って対象の人のことを思って作ることかな。後は材料選び。素材がしっかりしていたら、あまり失敗しないですね。調味料もね。

安藤 シンプルな料理でいいと思うんです。おいしいお塩やお醤油、お味噌…、自分のお気に入りを見つけることですね。先月小豆島に行ったんですけど、特産だけあってお醤油がおいしかったですね。
 後は、わたしも形から入るタイプなんですけど、好きな食器とか道具を持つこと。いい包丁を買ったら、がんばろうかなと思ったりしますよね。

高原 切り口がきれいやったら、それだけでおいしそうに見えますしね。

安藤 全部そろえるのは大変やから、少しずつね。器一つでも、これに何を盛ろうかなと想像がふくらみます。

高原 同じレシピを繰り返しやってみるのもいいかな。コツが分かってくるんですよね。学校がそうだったんですよ。タルトが4週、パイが4週とか、そこまでしなくてもいいかもしれないけど(笑)。炒め物とかも、タイミングがつかめるというか。初心者にはいいと思います。

徳好 やっぱり素材は大事ですね。おいしい卵、牛乳だと丁寧に作ろうと思います。生産者さんの顔が見えると、粗末にするのが嫌と思うし。お菓子のコツは、きちんと図って、丁寧にやることですね。
安藤 料理は幅があると思うんですけど、お菓子は割と繊細。実験みたいで面白い。そう、面白がってやることですね。次はこうしようああしようとかね。ついやりすぎて失敗することもありますけど。

高原 そして家族のコレステロール値が上がっていく(笑)。

 

 

★同じ道に進みたいと思っている人にアドバイスがあれば。

 

安藤 自分から発信すること。関西はあまり媒体がないので、販売したり、一般の人に食べてもらって…。スキルを磨きながらね。そこから広がっていくものだと思います。今だったらインターネットもあるし、どんどん自己表現していったらいいのでは。

高原 気付いてもらえなかったら、どれだけおいしくてもね。

安藤 ただ食品なので。2人とも保健所の許可を取った工房でやってますけど。まずはそれがハードルになるかな。

高原 それと、けっこう根性がいる(笑)。時々、時間がなくて眠れないときがあって、どうしてこんなに忙しいんだろろと思うんですけど、結局は楽しいんですよね。


 

 

 

★好きじゃないと続かないですね。

 

高原 普通に会社に行って仕事しているほうが、オンオフがあってラクかもしれない。

安藤 やっぱり好きなんですね。仕事だけど、楽しめるというか。私は結婚もしてるし、どちらかといえば、しないでいいことまでしているような。だからあんまりしんどいと言ってはいけないと思ってやっています。仕事!という感じではなく。企業の撮影用の料理作ったりするのは仕事かなという気はしますけど。お声をかけてくださるのはありがたいですね。

 

 

★ところで「アイナ」という名前の由来は?

 

安藤 ハワイ語で「食事」という意味です。わたしがフラダンスをしているもので。フラダンス、いいですよ。あれでけっこう運動になりますし。今では5年くらい続いてます。

 

 

★ほかにみなさん趣味はありますか。

 

高原 飲みに行くこと(笑)。

安藤 おやじ系なもので。おでんと日本酒とか。食べに行くときは、職人的な仕事をしている店に行くのが好きですね。

高原 そんなにも分からないくせに「ここは焼きがいい」とかね(笑)。

徳好 趣味らしいことといえば、ウクレレをちょっとやってたのでまた始めたいですけど…。後は雑貨屋さんめぐりですね。


 

 

★自作のお菓子はどこで食べられますか? ほかにも、お気に入りの店があれば。

 

高原 「キャトル・セゾン」の上の「カフェ・キャトル神戸」でスコーンを食べていただけます。
おすすめの店は「Hutte(ヒュッテ)」さん。キッチン用品とか食器とか文房具とか、ペーパーも自社で作られてて素敵です。芦屋にある「kaopan(カオパン)」というパン屋さんも気に入っています。季節の天然酵母を使っていて、春はイチゴの酵母とか、冬はミカンとか。同じパンでも味が違うんですよ。おいしいです。

徳好 私が卸しているのは、南船場の雑貨屋「MUKU」さんや「タピエスタイル」、宝塚のイタリアンレストラン「フロイライン」とか。中崎町のベトナム料理屋さん「モノカフェ ワヲン」にも卸しています。
苦楽園のハチミツ店「はちみのや」さんとはコラボでハニーソースを作ってます。季節ごとにメニューが変わるんでけど。
好きなのは、ここの帰りに寄る「チットブロカント」。アンティークの雑貨屋さんで、型を買ったりします。

安藤 「CA」という阪急芦屋川にある八百屋さん。通称、野菜王子が、毎朝農家まで仕入れに行っています。紅茶は芦屋の「ウーフ」さん、コーヒーなら元町の高架下にある「グリーンコーヒー」。
パンなら「ベッカライ・ビオブロート」。自家製粉して作るパンは体にもいいし、とてもおいしい。

高原 挙げたところは、ほんと全部おいしいですね。きちんと仕事されているところばかりで。後は、美保さんのワインショップ「ジェロボアム」。ぜひ旦那さんに会いに行っていただければ(笑)。


 

 

●フードユニットaina(アイナ)

http://www.aina-aina.com/
活動内容や、3人のプロフィールも。5月ごろリニューアル予定。

 

●安藤さんのブログ

Relais et campagne    http://mihoando.exblog.jp/

●高原由香さん(Trabajo)のブログ 

Trabajoのお菓子な生活  http://trabajo.exblog.jp/

●徳好琴美さん(cototoko)のブログ

cototoko パーラー    http://blog.livedoor.jp/cototoko

 

 

>>おわり
フードユニット aina(アイナ) 安藤美保さん、高原由香さん、徳好琴美さんのインタビューはこれで終わりです。

 


 

 

取材を終えて

「シンプルでOK!」。安藤さんの一言は、毎日の食事作りに追われる身にとってはうれしい限り。きちんと食べる…、当たり前のことが一番大事なんだと改めて思いました。それにしても、上手にお菓子を作る人って、やっぱり憧れ。初夏に出るサブレの本も楽しみです。

 

取材日:2009年3月7日

市内在住ライター。暮らしの中で接するあらゆる人の話に、ひっそりと息づく小さな真理。そんな“人生の知恵”に励まされ、癒される毎日です。
インタビュアー:中山 純子